鋸 山
千葉県富津市
大島から帰る船が東京湾に入ると、右舷に特徴のある二つの山が見えてくる。船から見て右手の平べったい双耳峰は富山(とみさん)。左の海坊主の頭のような山はなんだろう?
見慣れている房総半島の姿は、とにかく平べったい。だらだらともんじゃ焼きを広げたように低山が連なっている。こんな風にポッコリと突出した姿は見覚えがないが、はて?。
船が進むに従って山の形が崩れ、見慣れたぺちゃんこな山容が見えてきた。どうやらロールケーキのように細長い山を断面から見るか、横から見るか、と言うことだったようだ。対岸に見える久里浜・横須賀の位置関係から見当を付けると、おそらく鋸山だろう。
それにしても、独立峰なら山の字をしていそうだし、山脈ならまわりにも同じような峰や谷があって山塊を成しているだろう。ロールケーキが一つ、ポコンと地面に置かれたような山容は今までに見たことがない。
鋸山という名前は、険しい岩山がノコギリの歯ように並んでいる様子を表していると思っていたけれど、まわりになにもない中に起立した峰々の形が(ロールケーキではなく)ノコギリを立てたようだという名前でもあるのかな。