成木熊野神社
東京都青梅市成木3-207-1
熊野神社は山の神だ。街中で見かけた鬱蒼とした森に包まれた神社に、熊野神社の名前を見つけて「なるほどね」と思うことは多い。ましてや山村なら、本家熊野の山もこんな感じかなと思うような景色に出会う。
成木の熊野神社は、山そのものが神社になっている。街道から鳥居の奥を見て、杉木立のなかへ消えていく石段の長さに少し怯んだ。鳥居から拝殿まで、参道の石段は184段あるという。
登りは頑張って石段を直登したけれど、帰りはしんどくなって山道を下りてきた。
しばらく歩いて、あれ、どこへ行ってきたんだっけ?と首をかしげた。気分はどこかの山に登って帰ってきたつもりになっている。麓に着いて、横倒しになった先代の鳥居を見て、あぁそうだったと思い出した。
この鳥居は江戸時代の石灰窯主らが寄進したものだ。江戸城の白壁などに使われた石灰を産した成木の歴史を今に伝える文化財として保存されている。