2017年4月13日(水)

おいてけ堀

東京都江東区亀戸1-12-10 第三亀戸中学校前
東京都墨田区江東橋4-17-1 錦糸堀公園
東京都墨田区横網1-5-2 日本大学第一高等学校前

第三亀戸中学校前

わたしは「おいてけぼり」に不満がある。と言っても、誰かにおいてきぼりにされたことを恨んでいるのでも、幼い頃に置き去りにされたトラウマがあるわけでもない。

気に入らないのはその語源。手元の辞書(岩波国語辞典)には「おいてきぼり」について、「置去りにすること。本所七不思議の一つ「置いてけ堀」から。」とある。

錦糸堀公園

子供の頃から「おいてきぼり」は、「置いていく(連れて行かない)」と「放る(放置する)」を繋げた言葉だと思ってきた。「おいてきぼりをくう」と言うように、置いて行かれる側、映画「ホーム・アローン」(1990)のマコーレー・カルキン少年の立場の人が言う言葉で、何者かが釣果を横取りしようとする本所七不思議の話とは、意味も立場も違う。

「おいてきぼり」が先にあって、そこから例の怪談話が生まれたとわたしは思うのだが、辞書編纂の大先生は「おいてきぼり→おいてけぼりの転」(三省堂 大辞林)というようにあくまでも「おいてけ堀」ありきの説を曲げない。浅学の徒が何を言っても詮方ないとは思うものの、わたしにはいっかな腑に落ちないのだ。

ちなみに、実在のおいてけ堀の場所については諸説があり、亀戸の第三亀戸中学校前においてけ掘跡碑、錦糸町の錦糸堀公園においてけ掘「河童」の像、両国の日本大学第一高等学校前に解説板がある。それぞれに本所七不思議ゆかりの地であるという説明があるが、「おいてきぼり」の語源については一切触れていなかった。

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