成城みつ池・旧山田邸
東京都世田谷区成城4-20-25
自転車通勤のルートは成城の住宅地を抜けていく。素敵なお庭や趣のある洋館の御屋敷がたくさんあるのだが、個人宅なのでむやみに写真を撮ったり見学することは叶わず、見るだけというのがもどかしい。予兆もなく改築されたり取り壊されてしまうこともあるので、次はどの家かと思うとハラハラする。
喜多見不動の坂の上にある旧山田邸も以前から気になっていたのだが、今回、世田谷区の文化財に指定されて保存・公開が決まったというので、プレオープンイベントに行ってきた。一般オープンは5月2日からだ。
昭和12年(1937)に楢崎定吉というアメリカ帰りの実業家が建てた家で、昭和35年(1960)から画家の山田盛隆邸となったそうだ。そういえば以前に見た時には「南画院」という表札が掛かっていた。
外壁はリシン仕上げのスパニッシュ風、窓はすべて上げ下げ窓に統一され、スクラッチタイルを使った玄関ポーチや寄木張りの床など、本格的な洋館の意匠が良く保存されている。照明器具だけは、壊されてしまった他の洋館から寄せ集めてきたものだそうだ。
一間だけある和室は、洋室の中に障子で仕切った和室を入れ籠のように収めて、洋館の雰囲気を壊さないように工夫されている。偶然か意図したものかはわからないが、障子も上げ下げ窓の仕様になっていた。
変わったところでは、二階の廊下に小さな扉の付いたランドリーシューターがあった。洗濯物を投げ入れると、階下で女中さんが受け取って洗濯してくれるのだろう。建物の構造もさることながら、そういう暮らし方があったというところが面白い。
※ 受付のテントやたくさんの訪問者が写ってしまうので、外観写真は後日再訪して撮り直しました