江戸富士(EDO-FUJI)
東京都港区赤坂9-7-1 東京ミッドタウン芝生広場
六本木で富士山を見た。いつも見ている富士山の姿に比べて、なんか、もっちゃりとしているというか、いまいちシャープさに欠ける印象だ。冠雪の部分がとろろ昆布をかけたみたいで、お笑い芸人が出来そこないのカツラを被っておどけているように見える。
それもそのはず、このモニュメントは街路樹などの剪定ゴミを粉砕してつくったバーク堆肥を中心に盛り上げ、表面をココナッツピートというココヤシの殻を砕いた土壌改良材で覆った肥料の山なのだ。
昼間はこんな姿だが、夜になるとプロジェクションマッピングが投影されて、光のページェントが繰り広げられる。さすがは六本木、と思ったがプロジェクションマッピングのインスタレーション"aeru"は、4月16日までで終了していた。もともと、自転車散歩に夜のイベントは無縁とはいえ、見たかった気もする。
4月21日からは、林立する黒い柱に地質学や水文学などさまざまな視点で捉えた富士山のデータをビジュアライズ化した映像を映し出す「3,776 : the digital anatomy 〜富士山の解剖学〜」が展示されていたが、それも5月28日に終了してしまった。
今はデジタル技術によるデコレーションのない、素のままの富士山だけが芝生広場の一角にその存在感を示している。
予定のイベントを終了し、近々、肥料に戻して再利用するという。その前に見られて良かった。わたしにはこれで十分だ。負け惜しみじゃなくそう思うよ。ホント、ホント。
・富士山の後ろの銀色のオブジェは、"Fragment No.5 - caverna lunaris -" Florian Claar、2006