2017年6月16日(金)

Study of BABEL

東京都台東区上野公園12-8 東京藝術大学COI拠点

細部

東京都美術館にて開催中の「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―」(4月18日〜7月2日)はおもしろい美術展だ。

「おもしろい」というのは、作品が素晴らしいという意味(だけ)ではない。本作の「バベルの塔」以外にも、漫画家・大友克洋による塔内部の想像図「INSIDE BABEL」や、東京藝術大学COI拠点による300%の拡大複製画、3DCG動画などのコラボ企画が素晴らしいのだ。

全体

藝大で開催中の"Study of BABEL"では、立体模型で再現されたバベルの塔を見ることができる。建設工事用の機材や塔内で活動する人々など、原画でも丹念に描き込まれていた細部を忠実に再現した造形は圧巻の出来栄えだ。

原作者のブリューゲルは、一枚の絵の中に無数の諺や子供の遊びなどを百科辞典的に描き込んだり、風景画にさまざまな人々の生活を盛り込んだり、情報量の多い絵を描くことで知られている。どの作品も見始めると細部が気になって目が離せない。ある意味、探し物絵本「ウォーリーをさがせ」的な気分が見ている人みんなに蔓延するのだ。

そういう彼の作風を愛する人が、彼と同じようにこだわって何かを作り上げたくなる。それがこうしたコラボ作品を生み出しているのだろう。その気分はミュージアムショップの悪のりとしか思えないようなグッズ(失礼!)や、上野駅構内「エキュート上野」の協賛レストランがバベルの塔をイメージした料理を競作する“バベル盛り”フェアなどにも波及している。

神はバベルの塔を建設するために力をあわせた人間の所業を嫌って彼らの言葉を乱した、とされているが、こうしてそれぞれ別の形でみんなが同じテーマに取り組むのも悪くはないんじゃないかな。

立体化した「バベルの塔」&プロジェクションマッピング