2017年6月17日(土)

茅ヶ崎城址公園

神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎東2-25

中郭

神奈川県には茅ヶ崎が二つある。湘南の茅ヶ崎市と、鶴見川沿いの横浜市都筑区茅ケ崎(茅ケ崎町、茅ケ崎東、茅ケ崎南、茅ケ崎中央)。多摩川の丸子橋と茅ヶ崎市を結ぶ中原街道(神奈川県道45号線)は、都筑区茅ケ崎を掠めて通るからややこしい。この区間では、下りの行き先表示が茅ヶ崎「市」になっている。

土塁

都筑区茅ケ崎の地名は、中世の茅ケ崎城に由来するらしい。その城跡が横浜市営地下鉄センター南駅前に残っている。

駅名に表されている通り周辺は港北ニュータウンの中心として開発され、大きな商業施設や住宅が林立している。田畑や里山の名残など跡形もないかと思いきや、隣のセンター北駅前にある観覧車から眺めると、あたり一面を埋めつくす住宅の海のなかにポツリポツリと浮かぶ緑の孤塁が見えた。それは地球温暖化による水位上昇に抗っている絶海の孤島のようでもあり、攻め寄せる軍勢を相手に必死に防戦を続ける砦のようでもある。その中のひとつが茅ケ崎城の跡だ。

城跡の土塁や空堀は保存状態がよく、ついこの間まで合戦に使用されていたのではないかと思わせるほどだ。攻め寄せる開発の波を迎え撃つためにこの砦を守ってきた、いや今も守っている何者かがいるのではないか。そんな超自然的な力の存在を感じさせる雰囲気が、周りから隔絶された異次元空間のような森の中に漂っている。

文化財を守ろうとか、暮らしに潤いを与えるためには緑が必要だ、なんていう考えのもとに行動した人たちがいたのだろうとは思うけれど、それだけではない何か。人智を越えたものの存在を、わたしは疑わない。

横浜市教育委員会の説明板