石巻のゲル
宮城県石巻市湊筒場26-2
女川街道と牧山道路の交差点付近にあるこの建物はなんだろう。
看板も表札もなく、会社あるいは商店なのか、個人住宅なのかも判然としない。一般の方の住まいならば写真を撮っては失礼かとも思ったが、この異様な姿には目が釘付けになって離れない。
昔の特撮映画に出てくる月面基地、いや海底都市の住居のようだ。
周囲にはまだ東日本大震災による津波の跡が残っている。おそらく、次に大津波が来たとしても薙ぎ払われることなく、じっと耐えてやり過ごせるように備える耐震・耐津波住宅なのだろう。高台に逃げることなく今後もこの地に留まって暮らしていく、そんな強い意志を感じる。
ネットで探しても正体がわからない。モンゴルの遊牧民たちが暮らすゲルのようにも見えるので、ここでは「石巻のゲル」と呼ぶことにした。
津波の記憶を消すことはできないし忘れてはいけないことだとは思うけれど、名前だけはそこを離れて、幸せで穏やかな暮らしをイメージさせるものにしたかったのだ。
※ 後日、Googleストリートビュー(2018/6撮影)を見ると、「バーバー セルドリーム」という看板が立っていましたが、それ以上の情報は得られませんでした