日活パール劇場
宮城県石巻市中央1-3-14
学生時代に成人映画を観に行ったことがある。三軒茶屋の名画座で日活ロマンポルノの傑作「赫い髪の女」(中上健次原作、神代辰巳監督、1979)を観た。ポルノ映画が見たかったわけではない、傑作だというから行ったのだ、と言い訳をしておこう。その後、1回だけ洋画を見たきり、そういう映画館には行っていない。
「18歳未満の入場・観覧はご遠慮ください。」
2ヶ月前(6月25日)に閉館したばかりという日活パール劇場に入ると、頭部が雲の形をした裸の男性像(「私たちは互いの勇気になろう(雲の人)」)に迎えられた。同じ雲が前庭の噴水の上にも浮いている(「たえまない怒り(噴水)」)。作者(ハスラー・アキラ)の意図は違うと思うけれど、私には、モヤモヤとした性の妄想が頭に充満していた思春期の頃の自分を見ているような気になった。
劇場ロビーの壁一面を埋めつくす裸の女性のポスターに圧倒される。今のように誰にも知られずにネットでそういう映像を見ることができる時代には感じることのない葛藤、妄想と現実の狭間で悶々とした日々が思い出される。
「赫い髪の女」の同時上映は橋本治原作の「桃尻娘 ラブアタック」(1979) だった。映画の後半、主人公たちが通う学校の文化祭のシーンでおばけ屋敷が登場する。カオス*ラウンジが作り出す不思議な雰囲気の映画館内部(「地球をしばらく止めてくれ、ぼくは映画をゆっくり見たい。」)を周りながら、その場面がありありと思い出されて、なんだか懐かしい気持ちになった。