海は森からうまれる
宮城県石巻市中央3-6-9 旧観慶丸商店 / 石巻市荻浜横浜山
Reborn-Art Festivalのチケットを買いに訪れた旧観慶丸商店で、一番最初に見たのがこの作品だった。和室に置かれた牡蠣養殖用のブイを見た時、正直言って、わかった様なわからない様な、独りよがりの現代アートの典型だなと思ったので作品解説も読まず、ほとんど記憶にも残らなかったのだが、荻浜の洞窟で再開した時に、天啓があった。
もしかしたらこれはモノリスなんじゃないか?
作者の宮永愛子はこの丸い物体に、映画「2001年宇宙の旅」(Stanley Kubrick監督、1968)に、人類の歴史にその誕生から未来に至るまで大きな影響を与える存在(?)として登場する、あの黒い四角柱の役を与えたのではないだろうか。
山の洞窟に眠っていた太古の恐竜の卵が発見されたような景色は、月面のティコクレーターの地中からモノリスが発掘されたシーンに重なる。旧観慶丸商店のあの和室は、ボーマン船長がモノリスと対峙する白い寝室のイメージだ。
本来の意図は、海が森から生まれたことを「卵」の形で表現したのだろうと思うけれど、映画の中で猿たちにモノリスが知恵を付けて人類が生まれた様に、これはもっと深い形で悠久の歴史に関わった存在なんじゃないだろうか。
そんな思いが湧き上がる、不思議な作品だった。
※ 映画ついでで言うと、姫神島の洞窟で発見されたギャオスの卵(ガメラ 大怪獣空中決戦、1995、金子修介/樋口真嗣)や、マディソン・スクエア・ガーデンに生み付けられたGodzillaの卵の映像(Godzilla、1998、Roland Emmerich)も、一瞬わたしの頭をよぎりました。