新台湾壁画隊
宮城県石巻市中央2-5-7 / 中央2-1-2(南華園)
石巻で自転車屋を探していたら、見つかった店の向かいの空き地に、落書きにしては手の込んだ壁画を見つけた。通りに面して、絵の中ほどに描かれた「南華園」と同じ名前の中華料理屋の看板が出ている。
似た絵が旧観慶丸商店と交差点を挟んだ斜向かいの建物の壁にもあった。
おや、これは?と思って調べてみると、2012年8月に台湾から訪れたアート集団「新台湾壁画隊」が残していったものだとわかった。翌春(2013)に行われたアートインスタレーション「白屋」のプレイベント「春の約束」で描かれたものだ。
旧観慶丸商店近くの作品には、海を渡るバナナの船が描かれている。発起人の李俊賢氏によれば、台湾の南島文化を代表するバナナに乗って新台湾壁画隊が太平洋の白波を航海し、「祈福」を載せて東北へやって来たことを表現しているのだという。中央に描かれた「立」の字は、「立ち上ろう」という応援メッセージだ。
南華園の方には、津波到達水位を表す「236cm」の文字が記録されている。そのラインが画面上部に引かれ、その上に虹が架かっている。過去と決別して希望あふれる未来を迎えることを象徴している作品なのだそうだ。
制作当時は駐車場だった空き地には、建設工事が始まりそうな気配がある。作品が見られなくなるのは惜しいけれど、制作の目的が果たされて石巻が復興するなら使命は終わった、ということだよね。
※ 左写真の絵は2022年3月に、街なかキャンバスプロジェクト壁画「原点回帰」に書き替えられました。
右写真の空き地には家が建ちましたが、建物の隙間から絵の一部を見ることはできるようです。