旧山手250番館
神奈川県横浜市中区本牧原5-5-4 パークシティ本牧クラブハウス
横浜の洋館散歩といえば、元町の外国人墓地周辺が多くの観光客を集めているけれど、少し離れた本牧でも雰囲気の良い洋館が残されているのを見ることができる。離れたところにも足を伸ばせるのは、自転車散歩ならではの楽しみだ。
その建物は昭和4年(1929)に山手町250番地にアントニン・レーモンドの設計で建てられたスタンダード石油会社社宅で、現在は高層マンションが建ち並ぶパークシティ本牧のクラブハウスとして使用されている。もとの所在地は港の見える公園向かいの横浜インターナショナル・スクールのあるところで、昭和60年(1985)に移築復元された。
二世帯分を合体して左右対称に造られた南欧風のデザインが美しい。
特に説明板等はなく、知らなければ「ちょっとお洒落な建物だなぁ」ぐらいにしか思わないかも知れないが、今の日本人が洋館風に建物を造るといろいろと凝った意匠を加えてゴテゴテしてしまいそうなところを、シンプルに抑えてあるところがやはり本物は違うなと思わせる。
マンションの管理棟なので部外者は立ち入れないかと思って帰ってきたが、後から聞いたところでは、設計資料などを展示するアントニン・レーモンド記念室が無料で公開されていたそうだ。惜しいことをした。