鉛筆の碑 / 駿馬塚
東京都新宿区内藤町1-8 多武峯内藤神社
トルストイの民話「人にはどれほどの土地がいるか」を思い出した。
一日ぐるっと歩いて回っただけの土地を1000ルーブルで売ってあげようと言われた農夫が、欲をかいて広大な土地を隅から隅まで歩いたあげくに死んでしまい、結局手に入れたのは自分の体がピッタリはいる墓穴の土地だけだったという話だ。
多武峯内藤神社にある駿馬塚のいわれによれば、江戸時代に新宿(内藤新宿)に居を構えた内藤氏は、家康から「馬でひと息に回れるだけの土地を与える」と言われて新宿周辺の広大な土地を手に入れたという。この時に乗った馬はトルストイの農夫と同じように死んでしまうけれど、主人のために一所懸命走ったあっぱれな馬だという美談になっている。
日本とロシアとで似たような話があるということも驚きだが、ところ変わればこんなにも違う話になるものかと思うと感慨深い。
話は違うが、となりの公園には「鉛筆の碑」が建っている。かつて、玉川上水の余水吐の水力で水車をまわし、鉛筆を造る工場がこの地にあったという。鉛筆製造の草創期にこの地で創業した眞崎鉛筆が現在の三菱鉛筆になったのだそうだ。
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