万年橋
東京都青梅市大柳町 - 畑中1丁目
新しく橋ができた時の開通式には、その土地の夫婦三代による渡り初めが行われるのが通例と聞いたことがある。親子孫三世代が欠けることなく夫婦で揃うということは、一家が健康、長寿で安寧であるとともに、次世代へも繋がっていく家系であることを示していることから、その幸せにあやかり、橋も永続するようにとの願いが込められている。
多摩川上流で吉野街道と青梅街道を結んで架かる万年橋も、同じように橋の永続を願ってその名が付けられた。
橋の右岸、南側の袂には架橋の記念碑と、東京都西多摩建設事務所による橋の歴史を詳細に解説したパネルが設置してある。その詳細な内容には、「万年」橋に対する並々ならぬ思いが感じられる。
並んで置かれているのは、歴代の万年橋の親柱と、永年にわたってアーチ橋を支え続けてきた支承という部材だ。いつもは人目につかない、縁の下の力持ちである支承がこうして展示されているのは珍しい。垂目になった悪役のお面のような特異な形状が、夢に出てきそうな不思議なインパクトを感じさせるオブジェになっている。