フィリピン大使館公邸
東京都千代田区富士見1-1-1
赤坂から神田川に出たくて当てずっぽうに走っていたら、瀟洒な雰囲気のある洋館を見つけた。表札には「フィリピン大使館」とある。あれ?大正時代に建てられたフィリピン大使館の洋館は取り壊されたと聞いた憶えがあるけど、修復・保存されたのかな。
調べてみると、取り壊されたのは麻布・鳥居坂にあった旧小田良治邸で、跡地にはフィリピン大使館の新しい建物が建っている。ここは大使公邸で、旧安田岩次郎邸として昭和10年(1935)に建てられたものだ。昭和19年(1944)に当時のフィリピン大統領が購入して現在に至っている。
安田岩次郎は安田財閥の創始者安田善次郎の孫で画家。オノ・ヨーコ(Yoko Ono Lennon)の伯父でもあり、ヨーコは幼少期にこの邸宅で3年ほど暮らしたことがあるそうだ。
門の前の掲示には、2013年にフィリピンの文化遺産(国家的歴史建造物)に指定された旨がタガログ語で書かれていた。日本語訳はついているけれど、日本の教育委員会や観光協会の案内はない。なるほど、フィリピンの国有財産だから日本の文化財ではないんだね。ちょっと、複雑な気分。