錆ヶ浜港
東京都三宅島三宅村阿古672-3
朝5時着。日の出前の錆ヶ浜港は真っ暗だった。島中が眠っているこの時間にも、客船ターミナルだけは煌々と電気を灯して旅人を迎えてくれる、…かと思いきや、ターミナルも最低限の電気だけをつけて開店休業のような姿だった。
一時は接岸も危ぶまれたほどの強風が吹きすさぶ中、船は御蔵島への寄港をあきらめ、八丈島へと発っていった。船を下りた人たちは、迎えにきた家族や宿泊先の車に乗り込んであっと言う間にいなくなる。
一人ポツンと取り残されたわたしは、風を避けて真っ暗な待合室に逃げ込んだ。
いつも島に着く時に思うのだが、船出の時には賑やかな見送り風景が見られるのに、なぜお迎えはいつも寂しいのだろう。歓迎されていないのかなぁ、とさえ思ってしまう。
明るくなってから、改めて客船ターミナル(三宅島阿古漁港船客待合所)の建物を見てみる。設計はUG都市建築(2013年)。斜めに傾いだ大小二つの木の箱が、お互いに背比べをするように建っている姿がおもしろい。
「木の箱」と書いたが、壁と屋根の茶色い部分はタイル貼りで、海や火山の厳しい自然環境と共棲できるように設計されている。