火山体験遊歩道
東京都三宅村阿古
浅間山の鬼押出し(北軽井沢)を小振りにしたような溶岩原。奇岩もなく、ただ黒く平べったい空き地に木道が延びているだけ。しかし、この下に集落が埋まっていると思うと気持ちは複雑だ。
溶岩原の縁に、海に向かって流れた溶岩を堰き止めるように立つ廃墟がある。当時の中学校と小学校の跡だ。
遊歩道を訪ねる前、周回道路の側からこの廃墟を見たときには背後の溶岩が見えなかったので、2000年の噴火で島が無人になったときに打ち棄てられた建物かと思っていた。それを遊歩道から見ると、教室に侵入しようと迫った溶岩が、建物の際でかろうじて止まっている。その景色の落差に愕然とする。
幸い人的被害はなかったが、集落の約1,300人が家を失い移住を余儀なくされたという。移住と言っても島を出るわけではなく、島内で影響の少ない地域を選んで移る。何度も噴火に襲われながらも、生まれ育った土地を離れることなく暮らしていく人たち。
それが故郷(ふるさと)っていうものなのかなぁ。