新澪池跡と新鼻新山
東京都三宅村阿古1232付近(東側)
七島展望台からの帰り道、村道雄山線から御蔵島を撮った写真に図らずも新澪池跡が写っていた。森の中にぽっかりと空いた生コン工場を挟んで、右側の黒い部分が粟辺・薄木地区の溶岩流の跡。左側の森が禿げて茶色い地面が見えているところが、かつて新澪池の底だったところだ。
蔵王の御釜や草津白根山の湯釜などの火口湖や、摩周湖、芦ノ湖などのカルデラ湖、富士五湖や裏磐梯の湖沼群のような堰止湖など、観光名所となっている火山湖は多い。その成り立ちとなった災害は恐ろしいけれど、そんなことを忘れて見入ってしまう美しい景観が人々に親しまれている。
新澪池もかつては七色に変化する湖水が美しいと評判の名勝だった。それが、1983年の噴火の際に水蒸気爆発を起こし、一瞬にして干上がってしまったのだという。そのエネルギーの大きさに、恐怖を通り越して唖然としてしまう。
海に向かって、その時にできたという新鼻(にっぱな)新山を見に行った。真っ黒なスコリアが降り積もった砂漠のような景色の向こうに、波に削られた赤い断崖が見える。その下にゴロゴロと転がっている大きな石は、崩れ落ちたものか、噴火によって飛んできたものなのか。とても地球上の場所とは思えない、異様な光景だった。