堂山のシイ
東京都三宅村伊豆1207付近 御祭神社
周回道路から御祭神社に向かう道は、舗装はされているけれど、木の枝や木の実がたくさん落ちていて細いタイヤには心細い。森の中を、ゆっくりと、落下物を避けながら進んでいく。気持ちが少しずつクールダウンしてきて、安らかな心地が満ちてくる。
御祭神社は鬱蒼とした椎の原生林に覆われていた。武蔵野、多摩の散歩で見る鎮守の森とはまったく違うワイルドな雰囲気だ。参道の階段に玉石が積まれているところが三宅島らしい。
その奥に聳える椎の古木は、太古の神がそのまま現れたかのような姿に見える。大路池の迷子椎のような立派な枝は失われ、大きく開いた虚が痛々しいが、新しい枝が何本も伸びていてまだまだ元気でいるようだ。
椎の木は、わたしにはドングリの木として親しみがある。子供の頃、ドングリ拾いに夢中になっている僕たちを、孫を見守るお爺さんのように、空から世界を治める神様のように、温かく見守ってくれていたのが椎の木だったはずだ。
老いてなお矍鑠とした堂山の椎は、初めて会うのに懐かしいような気がする。しばらく会っていなかったお爺ちゃんの元気な姿が見られて良かった、みたいな気持ち。なんだかとても温かな気持ちが湧いてきた。