不受不施派僧の墓
東京都三宅村伊ヶ谷432(伊ヶ谷郵便局)隣
日本の歴史の中で、切支丹(キリスト教)以外にも禁教とされた宗教があったとは知らなかった。
周回道路から伊ヶ谷港に下りる道の入り口の反対側、郵便局の隣の高台の上に立つ数基の墓には、三宅島に流罪になった日蓮宗の一派不受不施派の僧たちが眠っている。
不受不施派は、その名の通り宗教的な考えを同じにしない人たちからは施しを受けず与えずというストイックな宗派だ。添えられた説明板によれば、その考えを貫き、豊臣秀吉の命に逆らったことをきっかけに切支丹と並んで禁教とされたのだという。
青空の下、眩しいぐらいに真っ白な白州にその強い意志を感じる。
島を回っていると、たくさんの流人たちの墓や縁の旧跡に出会う。彼らが島に流された理由はさまざまだ。喧嘩や博打などの一般的な犯罪のほかにも、権力抗争や宗教的な迫害など、時代と立場が違えば流されることがなかったであろう人たちもいた。
これまでにどんな人たちや考えが社会の主流から排除されてきたのか。そんな裏歴史のようなものが垣間見える気がする。
もしかしたら島では彼らの影響で本土とは違う歴史が進行していたのかもしれない、なんて、ちょっとパラレルワールドの存在を想像してしまった。