将門塚
東京都千代田区大手町1-1-1
丸の内オフィス街のビルの谷間にぽっかりと開いた穴。フランスの思想家ロラン・バルトが「空虚な中心」(表徴の帝国、1970)と評した皇居に対峙するもう一つの空虚がそこにある。
カルガモで有名になった三井物産ビルの影にある将門塚は、地図の上では大手町1-2にあるのに、大手町1-1-1を名乗っている。天神様こと菅原道真とならぶ怨霊として有名な平将門の祟りを畏れてのことだろうか。戦前はここに建っていた大蔵省で怪我人や病死者が続出したとか、戦後ここを接収したGHQが工事の手を入れようとしたらブルドーザーがひっくり返って怪我人が出たとか、いまだに怪しい噂が絶えない。
将門の墓と伝えられる石灯篭のまわりには蝦蟇の置物がいくつも置かれている。将門に縁のある筑波山の蝦蟇であるらしいのだが、討取られた首が京都から飛んで帰ったことにかけて、出張や転勤から無事“カエル”ことを祈っていくビジネスマンが多いのだとか。