陸軍戸山学校将校集会所
東京都新宿区戸山2-7-2(戸山教会)
信仰の強さを象徴するかのように、頑丈な礎石の上に建つ教会を見ることがある。たとえば、フランスのル・ピュイ(Le Puy)にあるサン・ミシェル・デギュイ礼拝堂(Chapelle St-Michel d'Aguillhe)は町中に突出した巨岩の上に建つ珍しい例だ。
戸山公園の中にある戸山教会もお城の石垣のような頑強な石組みの上に建っている。しかし、土台というには何とも怪しい雰囲気が漂っている。
ここには、明治6年(1873)から終戦まで陸軍の兵学校(戸山学校)があった。これは信仰の礎などではなく、半地下になった将校集会所(会議室)の跡なのだ。ここでどんな密議がなされていたのか、今となっては知るよしもない。
周囲には陸軍病院や戸山ヶ原射撃場などもあった。陸軍医学校跡地に建つ国立感染症研究所からは、平成元年(1989)の建て替えの際(当時は国立予防衛生研究所)に大量の人骨が発見され、人体実験の被害者ではないのかという疑惑が持たれている。