2006年3月11日(土)

佐伯祐三旧居

東京都新宿区中落合2-4-21 (佐伯公園)

佐伯祐三アトリエ

子供の頃、何かに夢中になって親の話に気がいかず 「え!?」と聞き返すと、必ず「絵じゃない字!」と言い返された。絵と字は違うもの、絵の中に字は描かないとずっと思っていたので、パリの街角にフランス語が踊る佐伯祐三の油絵を見たときには驚いた。

それまで親しんでいたルノアールなどの優しく明るい絵画と異なる、暗い色遣いと荒々しい筆致にも衝撃を受けた事が、強く印象に残っている。

若くしてパリの街に客死した彼の日本でのアトリエは、細い路地をたどった突き当たりに、隠れ家のようにひっそりと建っていた。そのひっそり感が、なんとも言えない不思議な雰囲気を醸し出している。

周囲は大小の住宅で埋め尽くされ、彼が連作「下落合風景」で描いたような広い空は見えないけれど、目と鼻の先にあるビルや車が支配する都会とは違った時の流れが、ここにはあるようだ。

※ 2010/4/28から「佐伯祐三アトリエ記念館」として、内部が公開されるようになりました。

新宿区教育委員会の説明版