ちゃぶ台
世田谷文学館 (不滅のヒーロー ウルトラマン展)
江戸東京たてもの園 (特別展 できゆくタワーの足もとで)
夏は想い出の季節だ。海、山、キャンプ、カブトムシ…、子供の頃の楽しかった夏休みが、今もまぶたの裏に浮かんでは消えていく。お盆がご先祖様と一緒に昔の思い出を連れてくるということもあるのかもしれない。
折からの昭和三十年代ブームで、この夏は想い出の懐かしさが加速している。世田谷文学館の「不滅のヒーロー・ウルトラマン展」と、江戸東京たてもの園の「特別展 できゆくタワーの足もとで」を見に行ってきた。どちらの会場でも、あの時代の象徴としてちゃぶ台のある部屋が再現されていた。
「ウルトラ〜」の方は、2005年放映のウルトラマンマックス第24話「狙われない街」の一シーンだが、そのオリジナルはウルトラセブン第8話「狙われた街」でモロボシ・ダンとメトロン星人がちゃぶ台を囲んで対峙する有名なシーンだ。放送された昭和42年(1967)当時は我が家も含め、まだ、どこの家庭にもちゃぶ台があった。クーラーなんか無かった居間にちゃぶ台をだして、かき氷をかいた夏の日を思い出す。
用が済むと、足を畳んで丸くなったちゃぶ台をころころと部屋の隅へ転がして、かわりに扇風機を部屋の真ん中に出す。顔を近づけて風に向かって叫ぶと、うがい声のような楽しい声が、かしましいセミの声に混じって夏空に飛んでいった。想い出の中の空はどこまでも青く、雲は汚れなく白く大きかった。