本所松坂町公園(吉良邸跡)

東京都墨田区両国3-13-9

本所松坂町公園

忠臣蔵のクライマックス、討ち入りの舞台となった吉良上野介邸の一部が公園として残されている。なまこ塀で囲まれた猫の額程の敷地には、討ち取られた上野介ならびに家臣二十士の慰霊碑や鎮魂の稲荷神社が置かれ、“大石内蔵助が見事仇討ちを果たした場所”と言うよりは、“不幸にも切られ役となった吉良殿を追慕する場所”という雰囲気だ。

首洗い井戸

ふと、20年以上前に訪ねた、秀吉の水攻めで有名な備中高松城趾のことを思い出した。

一般的には、秀吉がいかにこの奇策を成功させたか、といった勝者側の観点で語られることが多いが、現地の雰囲気は当然のことながら高松城主清水宗治の側に付いていた。そのことに「はっ!」とさせられたことが、いまも強く心に残っている。

吉良殿の場合は違うかもしれないが、宗治候の場合は政治の戦いに敗れはしたが悪人として討たれたわけではなく、土地の人にしてみれば今も“おらが国の殿様”であり続けている。秀吉こそ仇であるわけだ。

物事にはさまざまな角度からの見方があるものだということを、いつも心に留めておきたいと思う。

本所松坂町公園由来