2006年9月3日(日)

大倉集古館

東京都港区虎ノ門2-10-3

全景

ホテルオークラの正面玄関に対峙して堂々と建つ大倉集古館は、大倉財閥を興した大倉喜八郎の蒐集品を元につくられた日本初の私立美術館だ。中庭には得意満面の表情でベンチに座る彼の像が置かれている。

大正6年(1917)の開館後、震災で倒れ、昭和3年(1928)伊藤忠太の設計により再建した。

双頭の龍

お城の石垣のような一階部分に開いた五連のアーチ、左右に配された六角形の窓、大きく反った緑の屋根と垂木の朱。全体に漂うエキゾチックな雰囲気は、近代的なビルが林立する赤坂・虎ノ門界隈にあって、ひときわ異彩を放っている。何の説明もなく周囲に無造作に並べられた、仁王像や龍の飾りの付いた鐘などのオーラもすごい。

中にはいると、照明を落とした静かな空間に枯れた趣の東洋古美術がならび、外観を見て盛り上がった気持ちがクールダウンする。豊かな気持ちになって少し幸せ。しかし、それも束の間。二階へ上がる階段の手すりに居並ぶおかっぱ頭の獅子の像ににやりとし、二階展示室のドアを開けたとたんにまた頭に血が上ってきた。

居並ぶ列柱の柱頭には屋根の上から降りてきた吻(ふん、シャチホコの元になった中国の動物)が躍り、天井一面を覆い尽くした彫り物の龍が一斉にこちらを睨みつける。その迫力に圧倒されて、展示の方は何を見たのか忘れてしまった。