2006年9月3日(日)

愛宕山

東京都港区愛宕 1-5-3

出世の石段

幕末に日本を訪れたイギリス人写真家フェリックス・ベアトが、愛宕山から撮った江戸市中のパノラマ写真(1865-66年)が東京都写真美術館に保存されている。白壁に規則正しく窓を並べた長屋塀が電車のように長々と山裾に横たわるそのむこうに、黒々と広がる甍の海。その奥には江戸湾とかすかに房総半島の影も見えているらしい。

愛宕隧道

標高26mの愛宕山は、江戸市中にポツンと聳えていたので見晴らしの名所として有名だったようだ。今は、山のはるか何倍もの高さの愛宕グリーン・ヒルズのツインタワーに見下ろされ、周囲にも高いビルがひしめいてみる影もない。

それでも出世の石段と呼ばれる愛宕神社参道の急な石段の前に立つと、その高さを実感することができる。下りの景色は、絶壁を降りるようで(少しだけ)足がすくむ。

山腹には、六本木方面から新橋へ抜けるトンネル・愛宕隧道が通っている。昭和5年(1930)開通当時の記事(土木建築工事画報)には、「東京唯一の道路隧道」とある。今でも、立体交差などの用途のために便宜的に地下に掘ったトンネルや切通しに蓋をしたようなものは別として、山を貫通する正統派(?)トンネルは都区内ではここだけではないだろうか。

(説明) 港区教育委員会 | 愛宕神社由緒 || 江戸市中のパノラマ写真(Wikipedia)