坐ることを拒否する椅子
神奈川県川崎市中原区等々力1-2(川崎市市民ミュージアム)
「坐ることを拒否する椅子」(Chair Refusing to Seat Anyone、1963)。川崎市市民ミュージアムのロビーに置かれた岡本太郎の作品には、何とも過激な名前がついている。その名の通り、ぎょろりと睨みつける目の上に腰を下ろすには、ちょっぴり勇気が必要だ。
丸い頂面にでこぼこした彫り物があって座り心地は悪いけれど、説明には「やさしく お座りください」と書かれていて、椅子に生まれついた運命を甘んじて受け入れようとしている姿が微笑ましい。拒絶からは何も生まれないことを、この椅子たちは知っているのだ。
翻って新宿西口の地下道には、右の写真のように段ボールの人たちを排斥するために、口紅の先のような無味乾燥なオブジェが置かれている。ここに太郎のこの作品が並んだとしたら…。
う〜ん、楽しいけど…やっぱり気味が悪い。
※ 川崎市市民ミュージアムは令和元年東日本台風(2019)の被害により休館中。「坐ることを拒否する椅子」は生田の岡本太郎美術館などで見られます。