こどもの樹
東京都渋谷区神宮前5-53-1(こどもの城)
岡本太郎の作品の中でも、金色に輝く整った顔立ちときれいなカーブを描くフォルムが神々しくさえある「太陽の塔」(1970)に対して、青山のこどもの城にある「こどもの樹」(1985)は成長するこどもの元気さとやんちゃな感じが表現されたとても人間的な作品だ。
八方に広がった枝の先の顔は、どれも子供達から見えるように下を向いている。台座も、だっこされた子供が乗れる高さにしてあるそうだ。
怖い顔をしてとんがった作品を創ってきた岡本太郎にしては珍しい感じがするけれど、子供の集まる場所にふさわしいその造形は、彼自身が大きな子供みたいだったからかもしれない。こどもの城に集まる子供達も、青山劇場を訪れる昔子供だった人たちも、皆、優しい顔をして作品のまわりをぐるぐる回っている。
岡本太郎の作品ではないけれど、建物の壁にナゾのオブジェを見つけた。
太郎の作品に見入っている人たちの背後で、こっそりと、少女がなわとびをしながら壁から出てきて、また壁の中へと消えていく。シュールで、ちょっと気味の悪い感じもする不思議な作品だ。(後日、福田繁雄作「…111,112,113…」(1985)と判明)
※ こどもの城は2015年3月に閉館しました。2016年8月16日現在、まだ二つの作品は残っていますが、行く末が心配です。