2006年10月7日(土)

ワコール麹町ビル

東京都千代田区麹町1-1-2

ワコール麹町ビル(1984)

男には目もくれずに闘う(たとえば正義のために)タフな女性を指して「鋼鉄の美女」ということがある。

甲州街道をまっすぐに走って半蔵門に突き当たった角に建つこのビルは、側面に歯車とベルトのオブジェのある、女性の下着を製造・販売している会社とは思えないごつい外観が印象的だ。それで、ふと、この言葉を思い出した。

ワコールでは、研究のために毎年1,000人以上のべ30,000人以上の女性の体のデータを取っている。3次元測定器で頭のてっぺんから爪先まで丸ごと計測し、コンピュータの画面にマネキンのような立体画像を出してああでもないこうでもないと日夜女性の体の研究に余念が無いという。それに加えて、「寄せて上げて」などの人体改造イメージからすれば、この機械的なスタイルも、何となく腑に落ちる気がしないでもない。

設計者の黒川紀章が、そんなことを意識したのかどうかはわからないけれど…。

※ 後日調べたところによると、「歯車とベルトのオブジェ」に見えたものは、幕末に出版された天文書『遠西観象図説』に書かれた地球と太陽の関係を表した解説図が元になっているそうだ