2003年2月15日(土)

九品山浄真寺

東京都世田谷区奥沢7-41-3

梅

久品仏(くほんぶつ)の名で親しまれている久品山浄真寺は、戦国時代に世田谷の地を治めた吉良氏の家臣大平出羽守の居城であった奥沢城跡に建てられている。周囲を囲む土塁にその名残を見ることができる。

腐葉土の境内

大平出羽守の娘・常磐姫は世田谷城主・吉良頼家の寵愛を受けていたが、それを妬んだ他の側室の讒言にあい自害させられたという悲話がある。その遺書を足に結んだ鷺がこの地で頼家に射止められ可憐な花となった。大正の末頃まで、周囲では自生した鷺草を見ることができたという。

広い境内には一面に枯れ葉が敷かれ、都天然記念物のカヤ、イチョウをはじめとする古木・大木を守っている。なんだかあったかい感じがした。

参道入り口の交番横で「禁銃猟 警視廳」と彫られた石柱を見つけた。裏に明治32年11月とある。鷺草が一面に咲く野原で何を撃つのか。今の景色からは想像もできないけれど、しばし目をつむって思いをめぐらせてみた。

世田谷区教育委員会の説明板