鎌倉街道・トマソン阿部定物件
東京都多摩市関戸5-34(阿部定)
東京都多摩市鶴牧1-25(モアイ像)
高層住宅やオフィスビルの林立する多摩ニュータウンの北側に、同じ位相とは思えない静けさで旧鎌倉街道を中心とした古い集落が残っている。かつては宿場町として栄えていたという関戸地区は、往時の面影もなくひっそりとしていた。
大栗川と乞田川を分ける丘陵の裾を縫うように走る街道沿いの石垣の中におもしろいものを見つけた。
通称「阿部定」と呼ばれるトマソン物件だ(「超芸術トマソン」(赤瀬川原平:ちくま文庫)参照)。左の写真手前で石垣の中に埋もれるように残された木製電柱の名残で、付近にもう一例が発見された。写真奥では植木を生かすために塀に穴があけられており、でっこみひっこみの取り合わせが楽しい。
電柱が木だったことなど忘れるほどに昔のことのようだが、この辺では最近まで残っていたのか、多摩センター駅近くには撤去した電柱で作られたモアイ像が並んでいる。ビルの谷間で何を見ているのか、少し寂しげに空を仰いでいた。
※ Google Street View で見る限り、トマソン阿部定物件は2010〜14年の間に失われました。モアイの方ももう無いようです。