庭で焚火
東京都調布市国領町
ソファを捨てることになった。
本来なら粗大ゴミに出すところだが、家の年寄りが分解して燃やすという。煙が近所迷惑になるからやめろと言っても聞かない。頑固じじいだ。
昔はいろんなものを家で燃やした。落葉焚きなんて言う風物詩もあったし、学校や勤めに行く朝、建築現場の横を通ると大工さんたちが廃材を燃やして暖をとっているのに出会って、一緒に暖まらせてもらうこともあった。
暖かいのはもちろんだが、炎には不思議な力がある。緒方拳と奥田瑛二が焚火を前にしてコーヒーを飲みながら、「なんかいいこと言っちゃいそう。」と言うCMは正しい。
そんなことを思い出していたら、煙害に目くじらを立てていたのがつまらないことのような気がしてきた。悪い煙が出ないように、木の部分だけを選んで火にくべた。
立派なソファは灰になって、なかから昭和48年の50円硬貨が出てきた。子供の頃、弟とふざけあっていて、ソファの中に入れてしまったものだ。
ちょっとうれしかった。