2003年7月27日(日)

三鷹の森ジブリ美術館

東京都三鷹市下連雀1-1-83

黒い影

世界征服という言葉がまだ物語の世界に生きていた頃、攻撃的で好戦的な狂気と暴力は常に悪の側にあった。

ルパン三世・第二期TVシリーズの最終回「さらば愛しきルパンよ」に登場したロボット兵「ラムダ」は、映画「天空の城 ラピュタ」にも登場して、破壊と狂気の象徴として大暴れをした。宮崎駿監督は彼をラピュタの屋上庭園に眠らせることで、戦いの時代の終焉を表現したかったのだと思う。

しかし、それは善悪が明確に分かれていた時代の終焉でもあったのかも知れない。

イラク派兵問題のどこに正義があり悪があるのか。東欧や旧ソ連の民族紛争をどう裁定すればいいのか。明確な悪が存在しない世界で、実は正義(と思っている)の方が好戦的であったことに気づいて、わたしは愕然とする。

空をよぎる黒い影は、そんなわたしの不安な思いを代弁しているかのようだ。

表画面