細山郷土資料館
神奈川県川崎市麻生区細山3-10-10
調布から見て多摩川の対岸に長々と横たわる多摩丘陵に迷い込んだ。「多摩の横山」と言う名前を記憶しているが、これは八王子から多摩市にかけての部分をいい、調布市対岸の稲城・川崎市域は「向いの丘」と言うらしい。「向ヶ丘遊園」の名前にそれが残っている。
山の中に見つけた五重塔に急な坂道を上り下りしてやっとこさたどり着くと、細山の香林寺というお寺だった。隣接して細山郷土資料館がある。エントランスにある周辺の立体模型を見るとイルカが泳ぐように細長い山が田畑の間に並んでいた。それで細山というらしい。わたしはワニの背を渡る因幡の白ウサギよろしく、その山々を越えてきたわけで、どうりで坂道が多かったわけだ。
郷土資料館というと古い農家の物置きみたいな状態になっているところが多く、案の定、昔の農機具やら生活用品が雑然とならべられている中を、里山ウォーキングの途中に寄ったらしい年輩のグループが思い出話をしながら見学していた。金程向原遺跡など、住宅開発で発掘された土器が並べてあるのもお決り。
珍しいのは、戦前に養蚕具・農機具のメーカーとして名を馳せた地元企業・細王舎のコーナーと、天文学に関する展示だ。
細山の地で東京天文台(現国立天文台)による流星観測が行われた縁で、古い天体観測の資料や彗星の到来を知らせる錦絵、ハレー彗星の写真などが展示されている。農家の物置などと言って失礼した。なかなかに見応えのある資料館だ。