賀川豊彦記念・松沢資料館
東京都世田谷区上北沢3-8-19
上北沢の住宅地に教会の尖塔が見える。しかし、それはカフカの「城」さながらに、どこからも全貌を見ることができない。
それもそのはずで、設計者の阿部勤(アルテック建築研究所、1982)は、かつてこの地にあった松沢教会の礼拝堂をそのまま新しい建物の中に包みこんでしまったのだ。
キリスト者であり、社会事業家でもあった賀川豊彦の著作や各種資料を集めた松沢資料館の玄関を入ると、「光の庭」と呼ばれる中庭の向うに礼拝堂の入口が見える。その名にふさわしく青空の下に光があふれる静かな空間は、神の前の平安を表しているかのようだ。
一見、無愛想な外観だが、所々に配されたステンドグラスが印象的だった。