2004年6月13日(日)

喜多見不動堂

東京都世田谷区成城4-2

岩屋不動

明るく開けた野川の岸辺と、洒落た邸宅の並ぶ成城の狭間にあって、喜多見不動はちょっと怪しい雰囲気を漂わせている。

狭い道に大きな外車がひしめき合う急坂のとば口に開いた入口には、駐車場はもちろん、自転車を置く空地もないので立寄る人も少なく、もしかしたら忘れられてさえいるのかも知れない。豊かなハケの湧水が筋をなす不動の滝も、心なしか影が薄く感じられる。南向きなのに薄暗い階段の上には何も見えない。

あじさい

半分ほど階段を上った所から立派な社殿が見えてきた。社殿の後ろはどん詰り。崖に防空壕のようにぽっかりと口を開けているのが、岩屋不動だ。両側に怖い顔の狐に守られたお稲荷さんと、優しいお顔の観音様(?)の祠が並んでいる。静かで、隣を小田急線の線路が通っているとは思えない。

真っ暗で何も見えない洞窟にはいってみた。薄気味悪くはあるけれど、ひんやりとした冷気が気持いい。振向くと、なんということもなかった境内の景色が光り輝いて、とてもすばらしいところのように見えた。

なるほど。

宗教の教えや救いのことを「光」と言うけれど、祠にお参りした後に光を見るというわかりやすい演出に、ちょっと感心した。

世田谷区教育委員会の説明板