小仏関跡
東京都八王子市裏高尾町417
高尾山北側の小仏川に沿った旧甲州街道を行くと、もう春はすぐそこまで来ているのを感じる。一帯は高尾梅郷と呼ばれて、山の斜面に展開する梅林や民家の庭先のよく手入れされた古木の梅が高尾山や小仏峠から下りてきたハイカーの目を楽しませてくれる。
八王子からきた甲州街道が高尾駅の先で中央線をくぐってすぐに右手(西)へ旧道が分れていく。一転して静かな住宅地を走っていくと、最初に出迎えてくれたのは関所梅林と名付けられた小仏関跡の紅白黄に彩られた梅と山茱萸(さんしゅゆ)だった。
なかでも植物学者の牧野富太郎博士が「春黄金花」と名付けたという山茱萸が、陽を受けて金色に輝く様ははっとするほど美しい。
関所破りや磔などというおどろおどろしい話も今は昔、ひだまりに薫る梅の香は眠気を誘うほどに平和な気分にさせてくれる。