高安寺
東京都府中市片町2-4-1
武蔵坊弁慶と聞くと、伴宙太(「巨人の星」(TV)1968-1971・梶原一騎作/川崎のぼる画)の顔が浮かんでくる。スーパースター伝説の残る弁慶と愚直で不器用な伴宙太の違いはあるものの、豪放磊落で義経(星飛雄馬)に一途なイメージがだぶって見えるのだ。
源義経主従は「判官贔屓」と言う言葉を生み出すほどの人気キャラクターで、西は壇ノ浦から北は奥州平泉まで日本中を旅したことから、天狗の○○、弘法大師の○○などと並んで、弁慶の○○という足跡を各地に残している。府中の高安寺にある弁慶硯の井は、頼朝に鎌倉入りを許されなかった義経主従がこの井戸水で墨を擦って赦免嘆願の大般若経の写経をしたというものだ。
ちょっと地理的に無理があるような気もするが、鎌倉街道に近く、新田義貞の分倍河原古戦場も目の前という場所柄、何らかの縁はあったのかもしれないと思えば趣もある。
昔は甲州街道の南半分を寺領が占め、町が片側に寄っていたことから片町と呼ばれるようになったと言うが、現在の旧甲州街道に面した門は小さく拍子抜けするほどだ。それでも、門をくぐって中へ進むと二層の豪壮な山門が現れてびっくりする。
山門の傍らでは、水子地蔵の持つ風車と彩りを競うように紅葉が枝を広げていた。