光明院
神奈川県川崎市登戸1253
長野県松本市に開智学校(小学校)という、明治9年(1876)築の有名な擬洋風建築がある。洋風に見えるのに唐破風があり、福助みたいな天使が学校の表札を抱いている姿(当時の東京日々新聞の表題からヒントを得たらしい)がほほえましい。
文明開化の明治新時代に教育は最重要課題とされ、立派な建物がいくつも建てられた。今も各地に文化財として残されているものを見ることができる。
川崎市の登戸小学校は、発祥が明治6年(1873)の小学登戸学舎まで遡ることができるという伝統校だ。同年6月に今の善立寺(登戸2473)に開かれた学校は、9月にこの光明院へ移転し、大正3年(1914)に現在地(登戸1329)に平屋建9教室の校舎を建てたという。
光明院の立派な唐破風の向拝は旧登戸小学校の玄関の廂を転用したものだそうだ。当時の学校の格式のようなものを感じて興味深い。
境内には職人の神様を祀る太子堂がある。登戸はかつて、土蔵の壁などを塗る職人の町として有名だったといい、太子堂の壁にもシンプルな波模様の鏝絵が施されていた。