旧日立航空機株式会社立川工場変電所
東京都東大和市桜が丘2-167(東京都立東大和南公園内)
玉川上水に沿って、涼しい木陰の道を走る。西武線玉川上水駅近くで林を抜けると、真っ青な空が広がっていた。ここまでの快適な道のりを振り返って、ぎらつく夏の陽を恨めしく見上げる。
そこには何もない空。
線路を渡った北側の都立東大和南公園の一角に、古い建物が建っている。外形はとどめているものの、壁には無数の弾痕が残り、ところどころの壁がはがれている。
太平洋戦争末期に3度の空襲を受けた旧日立航空機株式会社の変電所跡だ。周囲には航空機のエンジンなど、かつての工場の活動を表すモニュメントが花畑に埋もれて置かれている。建物の前でホルンの練習をしている若者がいた。練習曲の単調な音階がレクイエムのように聞こえる。
当時、こんな風にのんきに空なんて仰げなかったのだろうなぁ、と思いながら草原に寝ころんでみた。あの年の8月15日、人々はどんな思いでこの空を見上げたのだろうか。