両門ノ滝

昔、こんな謎かけがありました。

天国と地獄の分かれ道に建つ二つの門。門に表札はありません。それぞれに門番がいますが、一人は嘘つき、もう一人は正直者です。さて、彼らにどんな質問をしたら天国への道がわかるでしょうか。

詳しくは憶えていませんが、そんな内容だった気がします。山で泊まったテントの中では、暇つぶしにこんな話をよくしました。

釜ノ沢の東俣と西俣の出合いに落ちる両門ノ滝を見ると、そんな思い出がよみがえってきます。

ここには門番がいないので訊くことはできませんが、向かって右が東俣、甲武信岳へ登るメインルートです。釜ノ沢の見せ場はおおよそここまで。そのクライマックスを飾るにふさわしい絶景でした。

ところで、「門」と聞いて頭に浮かぶのは「狭き門」「青春の門」「地獄の門」「羅生門」など。なぜか、くぐるのが難しかったり、そもそもくぐりたくないようなものばかりです。何かほかに、素敵な門はなかったかなと先程から頭を悩ませているのですが、困ったことに何も出てきません。

それがわたしの人生なのでしょうか。

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