妙円地蔵
東京都調布市菊野台1-32
NHKの人形劇「新八犬伝」(昭和48年(1973)4月〜昭和50年3月)はショッキングだった。いきなり、玉梓が怨霊(たまずさがおんりょう)である。それでなくとも人形師辻村ジュサブローが創りだした登場人物たちは、これまでの子供向け番組とはおもむきを異にして、いささか不気味だ。
しかも三味線のベンベンベン〜に始る主題歌に、坂本九の講談調ナレーション、「仁義礼智忠信孝悌」の合言葉。古くさいのに、これまでにない新しい感じ。それがおもしろくて、夢中になったことを思い出す。言過ぎかも知れないが、子供向けの枠を越えたという点では、昭和46年(1971)10月に始ったTVアニメ「ルパン三世」と双璧をなすと当時の少年(わたし)は思っていた。
調布市内の甲州街道に建つお地蔵さんの解説板に「瀧澤馬琴」の名前を見つけた。地蔵尊の名は妙円地蔵と言い、「新八犬伝」の元になった「南総里見八犬伝」の原作者瀧澤馬琴(曲亭馬琴)の随筆「玄同放言」にこの地蔵をめぐる逸話が書かれているというのだ。
お地蔵さんと八犬伝に何の関係もないが、なんだかとても懐かしい感じがした。