2004年5月22日(土)

旧新田男爵邸

東京都調布市布田

旧新田男爵邸

深大寺東側の都立農業高校神代農場の北側に、広い芝生の庭にクリーム色の壁が映えるスペイン風の洋館が建っていた。個人の邸宅なので写真を遠慮して、通りがかりに垣間見るのを楽しみにしてきたのに、残念なことに少し前に取りこわされて、味気ない建売住宅がその跡に何件も建ってしまった。惜しいことをした。

調布市文化会館たづくりで開かれている「中川平一風景画展〜調布を描いて40年〜」で、この中島邸を描いた作品を見て懐かしく思い出した。

旧新田男爵邸

写真家・増田彰久の本「写真な建築(白揚社)」の帯に赤瀬川原平が「建築写真家の情熱は、「現存せず」という言葉に結晶している。」と書いている。展示されている絵の中にも、何枚も「現存せず」というものがあり、その前に立つ誰もがため息を洩らしていた。

市内にはもう一件気になる洋館があって、今回の展覧会でそれが大正時代に新田義貞から19代目になる新田男爵が建てた邸(新田義美邸)だということがわかった。

ヘビ山の西側のハケの上に建っており、周りの宅地開発が進む前は多摩川と、おそらくその向うに富士を望むいいロケーションだったことだろう。今は別の個人宅になっており失礼かとは思ったが、木の間越しに写真を撮らせていただいた。山小屋風の洒落たつくりが、木々の緑と程良く調和している。