新田神社
東京都大田区矢口1-21-23
対抗する勢力の有力者を「消す」のは、何もマフィアの世界に限ったことではない。日本でも大は戦によるものから、小は左遷や讒言などまで様々な方法によって表舞台から消されていった人々がいる。そのなかには怨霊となって祟りをなし、神社に祀られて鎮められている例が少なくない。菅原道真しかり、平将門しかり。
大田区矢口にある新田神社もそう言った神社のひとつだ。
小金井市の金井原古戦場に名を残す新田義興は、南朝側について足利尊氏、基氏親子と対立していた。正平13年(1358)基氏の謀略に遭って矢口の渡しで自害させられた後、雷神となって基氏に加担した江戸遠江守に祟ったため渡しの近くに祀られることになったという。
境内には「うなる狛犬」など怨霊伝説を伝えるものがいくつもあり、事件の説明と縁の史跡の案内図も掲示されているので参考にして周囲を散策してみよう。
ご神木とされる樹齢700年のケヤキの木は雷に打たれて無惨に裂けているが、それでも力強く枝を広げる様は義興の霊が乗り移っているかのようだ。