野川のアジサイ
東京都三鷹市大沢2-15
日本原産のアジサイに、明治時代の蘭医シーボルトが日本人妻「楠本滝(お滝さん)」の名にちなんで「オタクサ」という学名(Hydrangea macrophylla Seringe var. otaksa Makino)をつけた話は有名だ。一般の人でも学名を知っている例は、ほかには聞かない。週刊誌的な話題と崇高な学問の世界が高度に融合した希有な例(はぁ?)と言えるだろうか。
実際にはこの名前は採用されず、現在の辞典にはHydrangea macrophylla form. macrophyllaという学名が記載されている。花言葉「移り気」にもかかわらず、二人の愛はドイツと日本に別れた後も変らなかったと言われているが、学名の方は変ってしまった。シーボルトも残念に思っていることだろう。
あじさいには「七変化」という別名があり、同じ株でも花が赤くなったり青くなったりすることがある。土壌のpH値によって変ると言われているが、リトマス試験紙とは逆に酸性土壌で青く、アルカリ性土壌で赤くなるらしい。
野川公園の手前(下流側)にきれいにあじさいが咲いている。あじさいは電車道やお寺の参道などに沿って一列に植えられていることが多い。ここでも流れに沿って列をなしているが、赤青がまだらになっていて、土壌のpH具合はそんなに微妙なものかと不思議に思ってしまう。