細王舎創業之碑
神奈川県川崎市麻生区高石3-32-1
巷では東京三菱銀行とUFJ銀行の合併が話題になっている。新社名は「三菱UFJ」が有力とされ、海外旅行の思い出と共に多くの人に記憶された「東京銀行」の名が消えてしまう事になりそうだ(※)。
合併や廃業に限らず、さまざまな理由で企業の名前は変えられ、また消えていく。そのことに特別な思いを持つ人も多い事だろう。
津久井道(世田谷街道)からよみうりランド方面へ折れる高石歩道橋下の丁字路の角に「農機具之元祖 細王舎創業之碑」と書かれた碑が建っている。かつて脱穀機(稲扱き)や小型耕耘機などで国内トップメーカーだった細王舎の工場跡を示す碑だ。
明治時代から戦後の一時期まで隆盛を誇った同社は、その後、小松製作所傘下に入り小松部品、小松ゼノアと社名を変えて現在に至っている。今ではWEBで検索しても数件が見つかる程度の忘れ去られた存在になってしまった。
石碑の周りは箱庭のようになっていて、建てられてから20年以上が経つ今もよく手入れがされて守られているようだ。日本の農業の一時代を作ってきたという自負が、忘れられる事を拒む力となってこの碑を支えているように見えた。細山の香林寺にも顕彰碑が建っている。
※ 結局、銀行名は「三菱東京UFJ銀行」に落ち着いた(2006年1月1日合併)。
※ その後、2018年に「三菱UFJ銀行」に改称され「東京」の名は消滅しました。