2005年8月6日(土)

猿島(フランス積れんが建造物)

神奈川県横須賀市猿島

要塞の窓

炎熱の浜辺を離れ、切通しの道を登って島内に分け入る。猿島は島全体が要塞になっており、その主たる部分は地下に造られていて、その中央を露天掘りの幹道が貫通している。

露天掘り幹道

木陰になった幹道を抜けていく風が気持ちいい。太陽から逃げてきた人が、木道の手すりに腰掛けて涼んでいる。

道の両側の要塞は、全国でも珍しいフランス積レンガ建造物だ。フランス積みというのは、レンガの長辺と短辺を交互に組合わせて積んでいく方式のことで、日本では4件しか現存していないという。

愛知県の旧武士たちが作ったという煉瓦は、一つ一つが大きく無骨で、整然と積まれた様は城郭の石垣のようだ。使われることがなかったという要塞の跡は、見ようによっては打捨てられた廃城の跡のようでもある。夏の太陽に焼かれながら、芭蕉とは違った意味で、「つわものどもが夢の跡」の寂寞とした思いを感じた。

フランス積れんが建造物の説明