大学セミナーハウス
東京都八王子市下柚木1987
どう見てもおかしい。広角で取ったから歪んで写ったのか。「ビルが建ちました〜」というアニメ技法のもじりか。誰の写真を見ても、建物がまっすぐに見えない。
これは実地に確かめなくてはなるまい。
以前から気になっていた大学セミナーハウス本館を見てきた。確かに逆三角形の建物が、柚木の山の中に突き刺さっていた。
吉阪隆正(+U研究室)の昭和40年(1965) の作品で、「大地に『知』のくさびを打ち込む」と言う意味があるらしい。本館以外にも特徴のある施設が林の中に散在する。「夜は遭難するから気をつけろ」と、冗談とも本気ともつかない話をしながら学生の一団が歩いていく。
玄関の屋根がクチバシのようで、地中から飛び出した未知の生き物のようにも見える。ポケモンのディグダを思い出した。
建物の裏手には鑓水から移築したという入母屋造りの民家が建っている。論語の「有朋自遠方、不亦楽乎」(朋あり遠方より来たる、亦楽しからずや)に由来して遠来荘と名付けられ、お茶会などに利用されているという。
庭先にはもう、紅梅が咲いていた。
※ 遠来荘は、2007年に解体されてしまったそうです