若山牧水の歌碑

ことひきの濱の松風静けしと

聞けば沖辺を雨過ぐるなり

大正十年春 牧水

歌人若山牧水は、明治十八年(1885)宮崎県東郷町に生まれ、昭和三年(1928)静岡県沼津市で没した。沼津市の乗運寺に眠る。

牧水は、旅を愛し、自然を愛し、人を愛した。全国各地を訪ね、その土地の風物に接し、その土地を愛で、好きなお酒を飲みながら、その土地の人々と語り合った。そして歌を詠んだ。

大正十年(1921)五月十九日、友人伊勢崎海花に誘われて、直島を訪れ、八幡神社宮司三宅其部氏の案内により、崇徳上皇の遺蹟を訪ねた後、この琴弾の浜で鯛網見物を楽しんだ。

その時に即興で詠んだのが歌碑の歌で、牧水の直筆である。昭和五十一年(1976)其部氏の長男三宅親連氏が町長の時代に建立された。

なお、牧水が終生愛誦したと伝えられ、牧水の直筆で書かれた永井荷風訳のボードレールの詩「旅」の一節が、歌碑の側面に刻まれている。

ゆかむがためにゆくものこそ まことの旅人なれ

心は気球の如くにかろく 身は悪運の手より逃れえず

なんの故とも知らずして たゞゆかむかなゆかむかなと叫ぶ

佛国 ボードレエル 作
日本 永井荷風 訳

平成十五年八月 直島町教育委員会

武蔵野・多摩MTB散歩